研究代表者のご挨拶 greeting

高齢者に発症する脳アミロイド血管症(CAA)に対し、若年性CAAの多くは遺伝性疾患として認識されていました。その一方で近年、医原性CAA(iatrogenic CAA: iCAA)という概念が生まれてきました。その発端は2015年から2016年にかけてヒト死体由来下垂体ホルモン投与やヒト死体由来硬膜移植後の医原性クロイツフェルト・ヤコブ病患者の剖検脳でCAA病理発現することが相次いで報告されたことに遡ります(Jaunmuktane Z, et al. Nature 2015; Hamaguchi T, Yamada M et al. Acta Neuropathol. 2016)。その後、生前に症候性のiCAAを発症した脳出血症例が初めて報告されました(Hervé et al., Acta Neuropathol. 2018)。以降、iCAAを疑う症例が散発的に報告されるようになり、山田らが行なった文献調査(難治性疾患政策研究事業 研究課題:早期発症・非遺伝性脳アミロイドアンギオパチーの発症機序)によれば2022年9月までに世界で33例のiCAA疑い例があり、典型例は小児期の開頭手術や硬膜移植から25年以上を経て出血を起こしていることがわかっています。その後、iCAAの概念はヒト死体由来下垂体ホルモン投与やヒト死体由来硬膜移植のみならず開頭・脊椎手術後、はたまた過去の輸血でも数十年の潜伏期間を経て、若年のみならず高齢者でも発症する可能性があるものと定義が拡大されつつあり、iCAAの取り巻く状況は発展途上の状態といえます。そのためiCAAの疫学は十分に知られておらず、医療現場での認知も十分とはいえません。

そのような状況の中、私共は2025年度、厚生労働科学研究費により「医原性脳アミロイド血管症関連脳出血に関する疫学調査・データベースの構築」の研究班(通称iCAA研究班)を立ち上げることができました。本研究はiCAAが脳出血発症を契機に診断されることが多いことから、脳卒中学会のサポートのもと、脳卒中・循環器病克服5ヵ年計画の登録事業の一つとして執り行われます。また厚労科研費で従来活動されていたプリオン病のサーベーランスと感染予防に関する調査研究班(プリオン病サーベーランス班)やアミロイドーシスに関する調査研究班(アミロイドーシス班)とも緊密な連携を行いながら行うことにしています。

この研究を通じて、日本における脳アミロイド血管症関連脳出血の疫学・病態の解明に班員で力を合わせて尽力し、その成果を国民の皆様に還元して参ります。

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾政策研究事業)
医原性脳アミロイド血管症関連脳出血に関する
疫学調査・データベース構築 研究班

代表研究者 藥師寺 祐介

関西医科大学 神経内科学講座 教授

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医原性脳アミロイド血管症関連脳出血に関する
疫学調査・データベースの構築 研究班

  • 研究代表者

    藥師寺 祐介 関西医科大学 神経内科学講座

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